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釧路地方裁判所 昭和49年(行ク)1号 決定 1975年3月28日

原告 金星釧路ハイヤー株式会社

被告 北海道十勝支庁長

主文

本件申立を却下する。

理由

一  申立の趣旨および理由の要旨

本件申立の趣旨は、「本件のうち、原告会社本店にかかる昭和四七年四月ないし九月分の軽油引取税の更正および加算金賦課決定処分の取消請求部分につき、被告を北海道十勝支庁長から同釧路支庁長に変更することの許可を求める。」というにあり、またその理由の要旨は、「本件において被告とすべき者を誤つた原因は、右事件の原告訴訟代理人が東京に在住する弁護士であつて北海道庁の行政区画に通暁していなかつたこと、本件訴状作成当時札幌その他の道内各都市数か所において同種の行政処分取消訴訟を提起する必要に迫られていたこと、そのため被告とすべき支庁長も多岐にわたつていて被告を決めることが困難な状況下にあつたこと、さらに被告を決めるにあたつてその資料とした各支庁長名義の軽油引取税更正・加算金決定通知書兼納付告知書のうち北海道釧路支庁長分はその記名部分の印影が極めてうすく殆んど判読し難かつたことなどによるものであり、しかも税務上会社の本支店は同一の所管に属するのが通常であり、また北海道十勝支庁長といい同釧路支庁長というも同一の北海道庁の支部又は支所の長であり同一官庁の出先機関にすぎないことなどに鑑みると被告を北海道釧路支庁長とすべきところを誤つて同十勝支庁長としたことは単なる表示上の誤記又は脱漏に等しいというべきである。したがつて原告が被告とすべき者を誤つたことについては到底故意又は重過失があるとはいえないから、右被告変更の裁判を求める。」というにある。

二  当裁判所の判断

よつて本件記録に基づき考察するに、先ず原告の軽油引取税納付申告は北海道釧路支庁長宛になされており、また右申告についてなされた本件の更正・加算金賦課決定も釧路支庁長名義の通知書兼納付告知書によつてなされていること、そして原告訴訟代理人は、原告のため、右の処分を不服として訴外北海道知事に対し、審査請求を申立てているが、その審査請求書には処分庁を北海道釧路支庁長と明記していることがそれぞれ明らかであり、これらの経緯からすれば、右処分の取消を求める本件訴において、原告訴訟代理人が被告を北海道十勝支庁長と誤認したことは著しくその注意義務を欠いたものというべきであつて、たとえ右代理人が北海道庁の行政区画に通暁せず、また本件訴の提起当時同種訴訟事件が輻輳していたにしても、あるいはまた前記通知書兼納付告知書の北海道釧路支庁長名の表示が不鮮明であつたにしても、これらの事情は右代理人の注意義務を軽減するものとはいい難く、またそのほか右代理人の主張する各事由も、その重過失を否定する根拠にはならないと解されるので、いずれも採用することができない。

以上の次第であるから、原告の本件被告変更の申立は理由がないのでこれを却下することとし主文のとおり決定する。

(裁判官 松本昭徳 藤井一男 塚田渥)

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